ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『彼の両親からは、もう目を覚まさないかも知れない息子の事は忘れて、早く違う彼氏を見つけて祥乃ちゃんは幸せになりなよって言われた…』

泣いている祥乃を見た敬大は、ハンカチを祥乃にそっと渡した。

『もう今は夢なんていらない…あの頃の元気なままの彼氏がいて欲しい…』

涙を流しながら祥乃はそう言って、助手席に座る敬大にそっと抱き着いた。

『ごめん…少しだけこのままでいさせて…』

祥乃は敬大の胸で涙を流した。

敬大はそっと祥乃の背中に手を回した。

『泣きたい時はおもいっきり泣きなよ。そしたらきっと、涙の後には笑顔が待ってるからさ』

敬大は泣き濡れる祥乃に優しい言葉をかけた。

すれ違う車のライトが、二人の乗った車を照らすたびに、祥乃の涙が煌めいた。

そして薄暗い道路の端で、ただカチカチとハザードの音だけが鳴り響いた。

月が見つめるその下で…。

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