強引な君と甘い恋

◇男が苦手なあたし



「はぁ、はぁ…つかれた」


普段運動をしていないから、今の距離を走っただけで一気に体力を奪われた。



校舎に入ったあたしは、取りあえず手を洗おうと、廊下にある流し台に向かった。



男たちに掴まれた手を石鹸をつけてゴシゴシと洗う。



あの人たち気持ち悪かった。


だから、助けてくれた彼には感謝しなくちゃ。



でも、嫌な気分にさせちゃったかな?


親切に手を差しのべてくれたのに、あたしの勝手で手を払いのけちゃって。


少し反省。ちゃんと言えば良かったな。



あたしはそう思いながら手を水で流すと、ポケットからハンカチを取り出し手を拭いた。




「あれ?美春?」



ポケットにハンカチをしまった時、名前を呼ばれた。



振り向くと、明るい茶色の髪を高い位置で一つに結び、化粧をしたギャル風の女の子が立っていた。




「あやめ!」


「あれ?裏庭じゃないの?」


抱きついたあたしを抱き返した女の子、筒見あやめ(ツツミ)はあたしの友達。


ギャルっぽいけど、人思いの優しい女の子。



.
< 17 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop