―不可能な共存―
いつもテツが座っていた場所を見ると、元々は人だったであろう物体が見えた。



その上には、コウスケの上着がかけてある。



あの黒い物体がテツなのだろうが、コウスケの上着をめくって確認する勇気はあたしにはなかった。



遺書らしいものはなかったけれど、あたしもコウスケもテツが自ら死を選んだ理由がわかっていた。



どんどん壊れていく自分を守ってくれているコウスケを助けたかったのではないだろうか。



解放したかったのではないだろうか。



確かな事はもう誰にもわからないが、そう思う事によってあたしたちも救われる気がする。



こんな形ではあるけれど、テツは最期に人間にもどれたのではないだろうか……
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