―不可能な共存―
変化
携帯電話の明るい着信メロディーで目が覚めた。



いやいや、まだ6時だけども。



画面を見ると、父親の名前が表示されている。



親父かよ。



舌打ちをしたくなった。でもまぁ、とりあえず出てみるか。



二つ折りの携帯を開き、通話ボタンを押した。



「もしもし」


「カヅ…か?」



雑音が入って聞き取りにくい。



「あたしの携帯なんだからあたししか出ないよ。で、何?どしたの?」


「別に用事はないんだ。ただちょっとお前の声が聞きたくなってな。元気か?」



耳障りな雑音が消えて、父親の声がクリアになった。



やっぱり、家族の声を聞くとホッとする。



昔はそんな事絶対思わなかったけど。
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