僕のお姉ちゃん
捨て去る過去
姉貴がそう言った瞬間に、電話は切れた。


多分、お金が足りなかったんだろう。


ますます、心配になった。



「那緒さん……何があったのかな?」



そう言った春の声はひどく小さくて震えていた。


いつもなら大丈夫、の一言で俺も春も安心できるけれど、今回ばかりはそんなわけはない。


俺は春の問いには答えられない。


ただひとついえるならば、



「良くないことが、危険なことが、姉貴の身には起きてる」



それだけだった。
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