ノースマイル


着く頃には服のまま海に飛び込んだかのようにずぶ濡れ。


こういうとき、天気予報を見るくせのない自分が憎らしい。


部屋に入り服を脱ぎ捨てた。


時計は夜九時を指している。



届けるのはシャワーを浴びてからでいいか。

べたべたして気持ちが悪い。


そのまま軽くシャワーを浴びて服を着た。


いつもなら高校で着ていたジャージ。

でも、今日は履き古したジーンズにTシャツを選んだ。


ジャージで訪ねるのは躊躇われるが、このくらいならいいだろう。



髪を適当に乾かし、腹に少し食べ物を入れると、もうすぐ十時になるところだった。



脱ぎ捨てたままにしておいた服のポケットから赤い石のピアスを取り出し、玄関のドアを開けた。



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