きみのて

それでも

「もーすぐ到着かなぁ?」
「そろそろだよね!あっこのホテルの次だよ!」

わたしは軽音楽部の恒例行事である温泉旅行に来ていた。
ホテル側が出している送迎バスにみんなで乗り込み、到着を待っていた。

「皆さんさようならー!楽しんでー!」

後輩の大和が先に到着したホテルに泊まるお客さん達に手を振った。

「栞、温泉楽しみだねぇ!」

前の座席に座っていた奈央が言った。

「だねぇー!めっちゃ入ろうねー!」


奈央のことは以前から知っていたが、途中から軽音楽部に入部し、それ以来とても仲良くなった。
奈央のお陰で、わたしのサークル生活は楽しいものになった。

今回の旅行も、参加している女子はわたしの奈央のふたりだけだった。
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