きみのて
リングなんて、サイズを知っていても合わなかったりするのに、そのリングは誂えたようにわたしにぴったりだった。

葵から別れを告げられた時も、またやり直せると信じていたわたしは、そのリングをはずすことがなかなかできなかった。

諦めないわたしに、葵はケイタイ番号を変え、連絡を取れなくすることで強引に決着を付けた。

それでも、リングを返す機会がないわけではなかった。

返そうか、と考えるたびに、でもこれはわたしのために葵が用意してくれたものだから、大切な思い出だから、と踏み止まり、結局返せず仕舞いだった。
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