4月の白い砂浜で
そうしたら、癌だって。

年配の痩せた先生は、あたしの目を真っ直ぐに見て、はっきりとそう言ったの。

「木村さんは今39才だね。
あと20才年を取っていれば、何らかの手術ができたかもしれない。
年齢が若いと早いんだ、癌の進行が。

もっとまめに健康診断を受けていれば・・・。
体調、悪かったでしょう。だるかったり、眩暈とかもあったはずだよ」

そうなんだ。あったんだ。

時々お腹が痛くなって、薬飲んでも利かなかったし、でも翌朝には治ってたりしてたから、あまり気にしなかった。

毎朝お弁当作って、娘を小学校に送り出して、息子たちを幼稚園に連れて行って・・・。

日々に追われる毎日で、子供の体調の心配をしても、自分の体調のことは軽く考えてた。

まさか自分がそんな大きな病気になるなんて、ほんのちょっとも考えたことなかった。
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