緑ノ刹那
ちょうどその時、最上階への扉の前に着いた。


ディーンは振り返って扉を示す。


『この中にフィリアはいるよ。
会うかい、フィリアに?』


いちいち苛つかせる口調。


『ずっと思ってたけど、"フィリア"っていう名前、何で知ってるんだ』


『…彼女の名前は、ずっと前から知ってるさ』


ふと、少し…ほんの少しだけ、ディーンの表情がやわらかくなる。

だが、次の瞬間にはさっきまでのディーンに戻った。


『―――さぁ、行こうか』



ディーンがそう言うと同時に、扉がひとりでに開いた。
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