【完】ひとつ屋根の下で。
翌朝、目を覚ますとブランケットがかかっている。
「全く、待ってなくていいよって言ったのに」
「あ、ヒカル。おはよ。別に、疲れたから、気付いたら寝てただけ」
目の前には、地べたに胡座で新聞をめくっていたヒカル。
ヒカルはその、吸い込まれそうな翡翠色の瞳をアタシに向けた。
「昨日、島本さんどうだった?」
アタシが聞くと、ヒカルが新聞を畳んで体ごと向く。
醸し出す雰囲気はあまり穏やかじゃない、気がする。
「胃癌……なんだって。胃の2分の1切除しなきゃいけないらしい。転移はしてないってさ」
病気に詳しくないアタシでも、『癌』という言葉くらいは知っている。
それだけで、何故か、心臓がチクリと痛んだ。