【完】ひとつ屋根の下で。
…………2年間、片時もヒカルの、あの翡翠色の瞳を忘れたことはないよ。



あんなに美しい色は、見たことなかったし、これからもあんな美しい色には巡り会わないだろうからね。



だって、この地にある、海も、砂浜も、緑も、木々も、日だまりも、星空だって、かないっこないんだ。



ヒカルといた期間は、たった半年だったのに、不思議だよな。



「いちご!おやつにサーターアンダギー食べるぞぉ」



「もう少し三線、練習してからにするよ」



要一兄に呼ばれたが、何となく、誘いを断り、アタシは三線の練習をした。



こんなことなら、出る前におばぁにちゃんと習っとけば良かった。



何回やっても、島唄には程遠い下手くそな演奏。



「ちっ。小学生でさえ弾けるのに」



ベンベン、ペソ。



いくら弾いたところで、綺麗な音なんて出やしない。押さえてる指がダメなのかな?チクショウだな。
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