【完】ひとつ屋根の下で。
しばらく閉まったドアを見つめ、またのろりくらり、とリビングに戻ったところで、アタシは手に握る菓子折りを見つめ、どうしようかと悩む。



とりあえず、置こう。うん、とりあえず、一端、落ち着く必要がある。



ヒカルが帰って来る前に、どこかに隠してしまえばいい。まだ時間はある。



そう思って、アタシは頭を落ち着かすために、ソファーに座りなおす。



しかし、それがよくなかった。



仕事の疲れが祟り、いつの間にか、うとうとして居眠り、してしまっていた。



テレビの音と、エコ温度に設定された快適な部屋が、疲れていた体には、あまりにも良すぎる環境だったのだ。



嗚呼、本当に、アタシの馬鹿。
< 91 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop