【短編集】STAY
天体観測
夜空の中にたった一つしかない月を見ると、いつも彼みたいだなんて思ってしまう。



たった一つのかけがいない存在であること、いつも当たり前にいてくれていること、いつも違った姿を見せてくれること……


共通点をあげればきりがないほどだ


そんな風にふと目に映ったものですら、彼と関連づけてしまう自分に対して恋は盲目だと思いながら、なんとも言えないため息を一つつく

それから、再びもう一人の彼を見上げると……

もう一人の彼は相変わらず慎ましい光を放っている

私の気持ちなどお構いなしに……

なんてまた一つ共通点を発見すると
私はまたため息つきながら、部屋の窓を閉めた



もし彼が月ならば、私はあの月の横にある星がいいななんて思いながら……




天体観測

彼を月と思ってしまうのは、月は星をより輝かせてくれるから
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