嘘で隠された現実(リアル)
目当ての教科書を見つけると、私はそれを抱えて立ち上がった。

すると突然、星が私の顔を覗き込んできた。

綺麗な顔がすぐ目の前に現れて、私は一瞬固まった。


「‥顔色良くないよぉ?もしかして、また寝ずに歌詞書いてた?」


「えっと‥まぁね」

私は、曖昧に微笑みながら頷いた。

「2週間後のライブまでにあと1曲必要なんでしょ?時間ないし、早くしないといけないじゃん?」


「もぉっ!」

星は大げさに首を振り、長く艶のあるストレートの黒髪を揺らした。

「そんな話、私は聞いてないってば。私に何の報告もなしに‥相変わらず、天音を随分とこき使う男よねぇ、アイツは…。そのせいで天音が寝てないこと、知ってるわけ?」


たぶん知らないだろうな‥そう思いながら、私は小さく笑った。

それを見て、星が明らかに不満そうな表情をつくる。
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