嘘で隠された現実(リアル)
「姉さんが怒ること?」


「響くん、天音の言ってることは正しいと思うけどぉ…?天音に反論するなら、いくら響くんでも許さないからね?」


私の言葉だけでは響の暴走を止められないと判りきっている星が、いつものように何気なく呟いた。


「‥そうですね、少し調子に乗りすぎました」

予想通り、響はしばしの沈黙の後、素直に自分の非を認めた。

「彗先輩の反応が良いもので、つい…」


「だから、何であんたは星が言うと素直になるのよ。今日、響の教室に行ったときも、そうだったし…」


「俺だけじゃないよ?クラスの皆も似たようなものだったはずだし」


「思い出させないでよ」


響のその言葉で、教室に行ったときのことを、嫌でも思い出してしまった。

そもそも私に対しての反応と星に対しての反応の明らかな違いは、どうにかならないのだろうか。

ある程度覚悟はしていたものの、あれほどあからさまでは悲しくなってくる。


「なんだよ、やっぱり後輩にも馬鹿にされてんのか?」


「馬鹿にされてるわけじゃないってば!」


遠慮なく笑う朱月を睨みつけながら、私は怒鳴った。
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