嘘で隠された現実(リアル)
「一度ちゃんと、両親にも逢いに行くつもりだから。話すよ、俺の決意」


「そうだね」

幸矢さんは頷くと、力を抜くようにソファーの背に身体を預けた。

「それにしても、寂しくなるなぁ‥水月くんのこともあるし、ゆっくりしてられないんだよね?」


「ああ。両親に水月のこと話さなきゃなんねぇし、まだ水月を説得もしてねぇけど、それが終り次第すぐに日本を発つ予定。早ければ1週間後になると思う。向こうでのことは、立花さん‥水月の先輩が、色々と手伝ってくれるらしい」


「そっか」

幸矢さんはネクタイを緩めながら、残念そうにため息を付いた。

「本当にすぐなんだね。朱月、残り少ない時間を一緒に過ごして、父親らしいことをしてあげたいけど、正直今は忙しくて無理なんだ」


「判ってるって」


「真面目に聞きなさい」


笑っていた俺を、幸矢さんは珍しく咎める。

そこで漸く、幸矢さんの真剣な表情に気付いた。
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