嘘で隠された現実(ﾘｱﾙ)

「え？」


「いや、何でもねぇよ」

朱月は、まるで誤魔化すように笑った。

「ホント、変だよな、アイツは」


「でも、Star lieには必要でしょ？あの彗ちゃんが」


「まぁな」


「でも、彗ちゃんキーボードの腕も確かだし、そのままの姿でも本当は十分なんだろうけどね。なんて、何もできないあたしが言っても説得力は皆無だけどさ」


「俺もそう思う」


「‥悪かったわねっ」


朱月は膨れる私を一瞬驚いた表情で見つめ、それから何か思い当たったように、苦笑しながら首を振った。


「違ぇよ。彗のキーボードの腕が確かだってことに賛同してんの」


「あ‥なぁんだ」


少しだけ顔が熱くなる。

その理由は、勘違いをした恥ずかしさが半分と、朱月が私自身を否定しているわけじゃなかったという嬉しさが半分‥だったかもしれない。


「まぁ本人がやってることに、いちいち口出すつもりはねぇけどな。それに、都合良いのも事実だし」


「そう言うと思った！」

私はクスッと小さく笑った。


話している内容は、私達のことではなく他人のこと。

しかし、そんな些細な会話でさえも、それを朱月と出来ることに、小さな幸せを感じていた。