愛して欲しい人。



行為のあと、幸宏さんの後悔したような、驚いたような、我に返ったような、そんな顔を見て初めて―――


その時やっと、申し訳ないと思った。



お母様に、お祖母様に、…お姉様さまに、幸宏さんに。


だけど後悔はなかった。



人生に一度の初めてを、幸宏さんに与えられたこと。


代わりでも、その腕で私を抱きしめてもらえたこと。




私は確かに、幸せを感じた。





だって、最初で最後だから。


もう、私に呆れて軽蔑して、二度と目も合わせてもらえないかもしれないから。



…後悔だけはしたくなかった。




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