ビターに愛して シュガーな恋心

番外編(勇人side)

くそっ

やっぱり、力では藤城には勝てねえな

俺の拳をあっさりと受け止めやがった

いとも簡単に

しかもびくともしてねえのが腹立たしい限りだ

「珍しいですね
感情が突っ走って他人に殴りかかるなんて、小山内先輩らしくない」

藤城がにっこりとほほ笑んだ

桃香は?

莉子は?

会長室に入ったのか?

俺は背後に人の気配がないことを確認して、藤城に受け止められた拳を引っ込めた

「髪…切ったんだな
俺への復讐を願賭けて、伸ばしてたんじゃねえのかよ」

「まあ…そうですけど」

「恋人のリボンなんかを後生大事につけやがって
女々しい男だ」

「よく言われます」

藤城が頬の筋肉を持ち上げた口角をあげた

笑っているように見えるが、目は笑っていない

「髪を切った意味はなんだ!」

俺は藤城を睨みつけた

答えの内容が、なんとなく見えている

聞きたくないが、聞かないと気がすまない

ヤツの頬に何発か
殴ってやりたい

妹に勝手に手を出しておいて

都合の良い解釈で妹を奪うなんて簡単には許さねえんだよ


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