ビターに愛して シュガーな恋心

莉子Side③

「…っち」

藤城君が、ハンバーガーにかぶりついて顔を歪めた

兄様に殴られた際に、口の中を切ったみたい

食べながら、藤城君は舌で傷口を確認している

「痛い?」

「あ…まあ、ね
2、3日は辛いかも」

藤城君が苦笑した

短髪になった藤城君の顔をまじまじと見つめた

色白い肌が、さらに露出したように感じる

肌の白さが前より強調されているみたい

色素の薄い灰色の瞳が、私の視線に気がついたのか

瞳の中に、私の顔が鏡のように映った

「なに?」

「ううん、髪がないなあって」

「あるだろ!
ハゲてないしっ」

藤城君の細長い指が、短い髪をぐちゃぐちゃにする

「違うよ…そういう意味じゃなくて
切っちゃったんだなあって」

「邪魔なだけだよ
男が長くったって、意味がないと思うよ」

藤城君がにこっと笑顔を見せた

「なら、なんで伸ばしてたの?」

「んー、まあ、それなりに意味が…」

藤城君は言いにくそうに、笑い声をあげた

< 153 / 417 >

この作品をシェア

pagetop