悔しいケド大好き…!!(上)





『菜々子…いつから?』

『っ…え?』

『ヒロ…いつから…
東京に行くって…言ってたの』

『私が聞いたのは…
今さっきだけど。』





『…そっかぁ』







ねぇ、ヒロ…
どうしてっ?


せめて 私に一言、
一言でいいから…

言ってから…
お別れ…したかったよ。


そっかぁ…
私が止めると思ったのか。






そうだよ…
私は 賛成なんてしない。

ヒロを失うならば、
私は無理にでも あなたを
離さない…


ずっとそばに…いる。





ヒロの そばに。










でもさ…
ヒロわ きっと…

私を想ってくれてたよね?
だって…

ヒロの手は、いつも…
いつも優しい手だった…



私の髪を撫でる手も…
私の涙を 拭う手も…
















私を 抱きしめる 強引な手も。

全部 全部…

優しい手だった。





< 128 / 136 >

この作品をシェア

pagetop