君に逢えない
               『田牧朋』




『……たまきあき??』




一番騒がしかった男子が素っ頓狂な声を出した。
周りも不思議と静かになる。




あたしは手で黒板をコンコン、と叩いた。





「これは“あき”とは呼びませんー。“とも”と呼ぶんですー」





少し膨れっ面になりながらもあたしはそう説明した。




“たまき とも”




それがあたしの名前。





「あたしは田舎から転校してきた田舎者なんで、宜しく」





ペコリとお辞儀。




前に下がっている髪の毛がふわりと持ち上がった。

うなじらへんで纏めている髪も。



あたしの髪は茶髪に少し赤みがかかったような色。
勿論地毛。




このときの姿を見たものは。




たちまち恋に落ちるという…。
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