恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~

今ならそこに紫苑さんと彼の父親である社長がいるはずだから、彼らに頼んで刑事告発を取り下げてもらおうと思ったんだ。


今回のことはもとはといえば、紫苑さんの言葉を勝手にプロポーズの言葉だと信じ込んだあたしが悪いんだ。

おにーちゃんに罪はない。

あたしのせいで、おにーちゃんが刑務所送りになるかもしれないなんて。

正義のヒーローのはずのおにーちゃんが、ワルモノになるなんて耐えられない。


相墨くんにフラれ、紫苑さんに相手にされず、今度はおにーちゃんが刑務所送りにされちゃうなんてあんまりだよ。

あたしからおにーちゃんを奪わないで。

このままじゃ、またひとりぼっちじゃん。

イヤだ。

ひとりぼっちはイヤ。

淋しいのはもうイヤだ。


こーなったら、どんなことをしてでも、おにーちゃんを許してもらうしかない。

今までずっと、おにーちゃんには助けてもらってばかりだったけど、今度はあたしがおにーちゃんを助けてあげる番だ―――――
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