恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~

「うん、分かってる。……あ、そうだ。出掛けるまえにパパに言っとくけど」

「なんだ?」

「言っとくけど、ボクは殴られたんじゃない。目を覚ましてもらっただけなんだ。だから、そこのところを勘違いしないでくれよ」

「目を……覚ましてもらった……?」


社長には紫苑さんの言ってる意味がまるで分からないみたいだった。

いや、意味は分からないのはハタで聞いているあたしも同じか。


「さすがに先代レッドのパンチは効いたよ。おかげでスッカリ目が覚めた。ボク、もうプレイボーイは卒業して“メリーヒルズの光源氏”の汚名も返上させてもらうよ。これからはひとりの女のコのことだけを……舞さんのことだけを一途に想うようにするから」


「今の言葉を聞いたら、白鳥さん、すごく喜ぶと思いますよ」

「そ、そーかなァ?」

照れ臭そうに笑う紫苑さん。

「だったらさぁ、センパイもさっき桃香ちゃんが言った言葉を聞いたら喜ぶと思うよ」

「さっきあたしが言った言葉?」

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