恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~

すごく意外そうな顔をしている白鳥さん。

「あぁ……ピンクにも、家族の誰にも話しちゃいねぇ……」

うつむいたままのおにーちゃんが言う。


「ねぇ、教えてよ、赤井氏」

「………」

黙って返事をしないおにーちゃん。

「教えて。赤井氏と紫苑さんの間になにがあったの?」

「………」

「ねぇ、教えてよ、教えてったら」

「言いたくねぇ」

「でもっ……」

「………」

「……あのさ、赤井氏、こないだあたしに言ったよね? “オレたちは兄妹みたいなもんだから、なんでも言えよ”って」

「…!?」

「もしどうしても秘密にしたいんなら、赤井氏の家族には黙っててあげるから、せめて妹分のあたしにだけは本当のことを話してよ」

「………」

< 90 / 263 >

この作品をシェア

pagetop