1人のお嬢様の願い
5:モトの自分
飛翔side


――…あれは、2ヶ月前。
母さんの爆弾発言だった。

「飛翔〜。私、結婚することになったから。」

朝の準備で忙しい時間、このマイペース人間は言ってきた。


「へぇ〜……。…は?」


朝飯を食いながら、テレビを見ていた俺は正面にいる奴を見た。

「だから〜。結婚!する。」

「いや…だから〜じゃなくてさ。……てか、誰と?!」

「ん〜?堂浜さんっていう人。」


いやいやいや。こいつ、何考えてんの!
息子にそれっぽい人いることも言わずにいきなり結婚?!

別に結婚するのはいいけどさ。
一言、言ってくれよ…。

「…なんで、忙しい朝の時間にいきなり言うんだよ…」

「ごめんごめん。忘れてた。」

わ、忘れてたァ?!

こいつ…ふざけやがって。

「とりあえず、今日、飛翔もその人に会いに行くから〜。」

「……はァ?!……だから、もっと早く言えよ…。」



なんだかんだいって、一番びっくりしたのは母さんの結婚相手に会った時だった。

「どうも、初めまして。君が飛翔くんだね。」

「あ、はい…。初めまして。」

「私は、堂浜秀秋[ヒデアキ]という者だ。」

結婚相手はすげぇ優しそうな人だった。
だから、最初は気づかなかったんだ。

「さぁ、中に入って話そう。」

え…、まさか。

この、でけぇ家?!!

おいおいおい?!


「か、母さん…。堂浜さんって何者…?」

「ん?あぁ、堂浜グループの社長さん〜。」

…ま、まぢかよ…。

社長さんだったなんて。

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