世界は残酷な女神の笑みを理に
だが、通報すれば知られたくない真実も晒されてしまう。
正義感と自らの罪の狭間で揺れる心は、徐々に罪を晒されたくないという考えに傾いていき、ハンドルを握る力は自然と強まり、不安を忘れさせてくれるのを求めるかの様にいつもの場所に急いだ。



「ねえ、章。勝弥の何の用なのかしらね?」


「俺が知る訳ないだろ。全く蓮のもまだ来てないしさ。」


「ほーんと。四人集まっての暇人ズなのにね。」


「おいおい。暇人ズは止めろ。…まあ、否定は出来ないが。」


広場の隅に置かれたドラム缶の上に、スカートが汚れてしまう事も気にせず、芹香は深く腰掛けて、退屈が溢れ口から吐息を吐き出した。
蓮・章・芹香・勝弥は同じ大学の友人であり、いつも一緒にいるからか、いつもの面子で大体通用していた。
いつも場を盛り上げる勝弥に、赤一点にも関わらずに特に気にする事もなくノリの良い芹香。
そんな二人の騒ぎっぷりを制御するのが章で、その様子を傍観しながら酒を飲む蓮。
色々癖のある面子が此所まで、組み合わさるのも珍しいと良く言われていた。


「あ、そういえば章。LIFEGAME知ってる?」


「ああ。金に釣られてな。やらねえぞ?」


「ケチィー。」


「信じてはいないが、もし本当なら死にたくないし。」


「よーう、お待たせーい。」


二人の会話の最中に紡がれた言葉は、こちらに向かって来る勝弥からの声で、勝弥の腰に付けている膨らんだポーチが、欲望の音色を奏で、二人に魔の手の襲来を告知していた。
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