ラブ・スーパーノヴァ
そう、と倫は短く答えた。

母が倫に残してくれた’倫’という名前。

(周一郎さんは・・・知ってたかな。私の名前・・・。)

倫は真実を知って以来、徐々に落ち着いてくると、周一郎という人がどういう人なのか知りたい衝動にかられた。

どういう経過をたどったにせよ、自分の父親である。彼が存在しなければ自分は存在しないのだ。

(キヨちゃんはひどい人だと思ってるみたいだけど、本当のところ、どんな人だったんだろう・・・)

薫から聞く周一郎の印象からは、悪いイメージが沸いてこないのだ。

しかし、幸子のことを無理やり抱くような一面もあるのは確かだ。

倫はいつもそこで思考が停止してしまう。

(やっぱり、そういう人なのかな・・・)

「お前さん、明日から合宿だったね。気をつけて行ってきなよ。」

倫はキヨに合宿に薫が来ることは告げていなかった。
真実を知って、もう会わないと誓っただけに、キヨには言えなかった。

(合宿に一緒に行くからって、話をしなきゃいいんだし・・・。)

そうは言っても姿が見えるだけで、胸が苦しいのだ。倫にとってはこの合宿は苦痛でしかなかった。

「あれ?キヨちゃんも熱海っていってなかったっけ?老人会のひとたちと。」

「それは来週だよ。お前さん、1人で大丈夫かい?」

キヨはよっこいしょと立ち上がって。もう一度お墓をじっと眺めた。

「もう子供じゃないんだから、大丈夫だよ。」

キヨはふふ、と笑った。

「そうだね・・・もう子供じゃないんだねぇ・・・。」

いつまでも子供でいてほしいといったような、悲しい微笑みだった。

(キヨちゃん・・・私にとってキヨちゃんはもう1人のお母さんだよ・・・。)
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