フランシーヌ
手の力が抜け、握りしめていた少女の手首が離れていく。

はさみの先端が抜ける瞬間、顔面に激痛が走ってジョーは低く呻いた。

目の奥で、色とりどりの光が明滅していた。

無意識に顔を手で覆うと、かすむ視界が真っ赤に染まった。

彼がその左目で最後に視た映像は、恐怖に凍り付いた少女の泣き顔と、それに重なる真っ赤な炎だった。

その炎は、自らが流した血の色だっただろうか…。

自分の名を絶叫する少女の声がだんだん遠くなる。

体が、ぐらりと揺れて、前のめりになった。

――あ…。やべ…。煙草、消さなきゃ…な…。

そして、ジョーは、混沌の闇に堕ちていった。
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