流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
「気持ちはさ、わかるよ」

「希美…」

「でもさ、幸村さんもきっと、幸姫ちゃんと一緒にできるかぎり居たいとおもってるんじゃないかな」

そっとドアから、リビングにいる3人の姿を見た。優しい、父親の顔をした幸村。その腕の中には、幸せそうな顔で寝ている幸姫の姿があり、佐助が幸姫に、そばに置いてあったタオルをかけてあげていた。

「ま、正直あの2人を自由に行き来させることはできないわけだしさ。しばらくはどうせこっちにいるんだろうし、そっと見守ってあげるのがいいのかもね」

ふふっと少し笑うと、玲子も少しだけ困ったような表情で頷いた。

「ごめんね、ゆっきー。すぐにお布団の用意するから」

「ああ、すまん」

2人のやり取りを見て、佐助が小さくため息をついた。希美は首をかしげながら、つつつっと佐助の傍へと近寄っていった。

「どうかした?」

「何がだ」

「溜息。さっきついてたでしょ?」

「あぁ…」

少しだけ複雑そうな表情をする佐助に、幸村は小さく、心配ない、と言って、そのまま玲子が布団の用意をしに行った部屋へと入っていった。

「どういう意味?」

希美に聞かれて、佐助は少しだけ切なそうな表情で答えた。

「若があれだけ幸姫様のことを大切にされているのを見ると、こちらにこのままずっといるのではないかと心配していたのだが。杞憂だったようだ」

その言葉に、希美は少し複雑な気持ちになる。

「…そう」

楽しい時間はあっという間に過ぎていくものだと、小さい頃は思っていたが、大人になればさらにその間隔は短くなっているような気がしてならなかった。
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