流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
「すまない」

幸村がまた、頭を下げた。

「どうして?ねぇ。なんで?」


どうしていっしょにいてくれないの?
なんでいっしょにいられないの?


「ゆきむら、こうきのこときらい?」

目ににじんでいる涙を見て、幸村は唇をかみ締めた。

「そうじゃない。そんなはず、ないだろう」

「じゃぁどうして?どうしてゆきむらはいっしょにいてくれないの?ゆきむら、こうきのおとうさんなのに!」

その一言に、幸村は幸姫をぎゅっと抱き寄せた。

「すまない。本当にすまない」

強く抱きしめる幸村の腕を、幸姫は必死で振りほどこうと抵抗する。

「幸姫と一緒に、俺も一緒に暮らしていきたい」

「じゃぁ…!」

「だが、駄目だ。俺は、お館様を守らねばならぬ」


…ゆきむらが、ないてる。


ぽとっと暖かいしずくが、頬に落ちてきた。
頬を伝い、それは冷たくなって、首を伝っていった。

「俺は、お館様をお守りすると誓ったのだ。そして、そのために、命をかける覚悟で今まで生きてきた」

顔を上げると、見たこともない、幸村の顔があった。

「玲子にも、幸姫にもすまないと思っている。だが、これが俺の使命なんだ」

ふっと緩んだ幸村の腕から、幸姫はするっと抜ける。

「ゆきむら、こうきのこと、きらい?」

深呼吸をひとつ。大きく息をすって聞いてみる。

「…そんなわけないだろう?俺の大切な娘だ。嫌いなはずがないだろう」

優しく笑う幸村に、幸姫はぎゅっと抱きついた。

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