流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
新幹線のチケットを買い、改札を通る。

中に入るとすぐに、幸姫は走り出した。

「こら、幸姫!走らないの!」

玲子に怒られるも、幸姫は気にせず、どんどん走っていく。

「きゃぁ!」

いきなり体が宙に浮く。幸姫はビックリして声をあげた。

「幸姫、玲子がだめだと言っているだろう?」

幸村の諌めるような声がした。振り向くと、後ろには幸村の顔があった。

「いーやぁー」


だって、はやくしんかんせんにのるんだもん!
ゆきむらとれいちゃんといっしょに、いっぱいあそぶんだもん!


じたばたと幸姫は暴れた。が、幸村は何も言わず、じっと幸姫を見つめていた。

「……ごめんなさい」

幸姫は項垂れて、幸村にぼそっと謝った。
すると、幸村がそのまま幸姫を抱っこして、頭を撫でた。

「玲子にも、ちゃんと言えるな?」

言われて幸姫は小さく頷いた。

「れいちゃん…ごめんなさい」

幸姫は辛そうな表情で謝った。

「幸姫が、はやく遊びたいのはわかるけど、周りにはたくさん人がいて、ぶつかったりしたら危ないでしょ?」

「うん…」

「だから、走ったりしちゃだめ。一緒におてて繋いで行こう?」

玲子に言われて幸姫は少し考えると、首を横にふった。

「幸姫?」

驚いた表情を玲子は浮かべる。幸姫はじっと、幸村の方を見つめた。

「どうした?」

聞かれて、幸姫はギュッと幸村に抱きついた。

「だっこがいい」

「幸姫…」

少しだけ困ったような表情を玲子が浮かべると、幸村は笑って答えた。

「よし、では、今日はこのまま行くとするか」

「え?でも…」

玲子がすまなそうな顔をする。

が。

「うわぁぃ!やったぁ!」

幸姫は満面の笑みで幸村に抱きついた。その姿をみて、玲子は少しだけ申し訳なさそうに、幸村にありがとうと呟いた。
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