流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
出発して暫らくの間、幸姫と幸村は一緒に窓の外の景色を眺めていた。ものすごい速さで変わっていく風景に、幸姫と幸村は目を輝かせていた。

「あー!ふじさん!」

幸姫が指差す先に、こじんまりと見える富士山の姿があった。ほんの一瞬だったが、幸村は目を大きく見開いていた。

「本当に、この時代はすごいな…」

感嘆の声を上げながら、玲子を見ると、玲子はほほえましそうに、2人を見つめていた。

「便利にはなったと思うよ。ものすごく。でも、私はゆっきーの時代も、結構好きだな」

玲子の言葉に、幸村はすこし誇らしげな顔で聞く。

「そうかな?」

その言葉に、玲子は少しだけおかしそうに笑った。

「だって。空気がおいしいんだもん。自然がいっぱいあって。移動とか、確かにしんどいけどさ。でも、今の時代なんかより、ずっと、生きてるって感じがした」

そういうと、幸姫の頭を撫でながら続けた。

「私の個人的な希望としては、幸姫はゆっきーのところで育ててあげたいんだよね」

その言葉に、今度は幸姫は首をかしげた。
「ゆきむらのおうちに行くの?」

玲子は笑って首を横にふった。

「違うよ。でも……いつか、ゆっきーの住んでるところに、一緒に行きたいね」

そう言って微笑む玲子の表情は、どこか寂しげだった。自分を抱っこしてくれている幸村も、少しだけ切なそうな表情を浮かべていた。

「どうしたの?れいちゃん。こんどいっしょに、ゆきむらのおうちにあそびに行こう?」

心配そうな表情を浮かべる幸姫に、玲子は笑って、ただ、頭を撫でた。
< 47 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop