月の雫 -君と歩む彼方への道-
そりゃ、相手に「死」のイメージを与えるだけで殺せるようなヤツだ。

「暑い」と感じる心の制御くらい、わけないだろう。




「あ、そうか」


突然オレは気付いた。


「なるほどな。

確かに、言われてみれば、悲しい・うれしい・苦しい、何でも「心」が感じてることだもんな。

出来事や現象それ自体が決して悲しいわけでもうれしいわけでもないんだよな」


シルヴァイラは、ごく当たり前のように涼しい顔をしてうなずいた。


「現象をどう受け止めるかは、その人次第だから。


気温はたとえば、30度なら30度でしかない。

暑い地方の人は涼しいと思うだろうし、寒い地方の人なら逆だろ。

70度のお湯で快適に生きてるエビだっているんだから」
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