月の雫 -君と歩む彼方への道-
「シルヴァイラ、おまえのおかげで階級が上がったのかもしれない」


オレは部屋に駆け込むと、相変わらず窓の外をぼーっと見ていたシルヴァイラの背中に声をかけた。


「心のブロックの方法教えてくれただろ。

あれで多分修練度が上がったんだ。


それしか考えられないし」


息せき切ってそう言うオレも、シルヴァイラが手放しで喜んでくれるだろうなんて、決して思っちゃいなかったけど。

シルヴィはけだるそうに半分だけ振り返って、オレを見もせずにのろのろとこう言った。


「ずいぶん浮かれているな。

階級が上がるのがうれしいのか?」



「え――」


いきなり水を差されて、オレの足はぴたりと止まった。
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