月の雫 -君と歩む彼方への道-
「シレン!」



遠くなる意識の中で聞こえたのは、いつもはかすれて弱々しいシルヴァイラの、凛とした鋭い声。



(なんだおまえ、そんな声も出せるんじゃないか。


いつも手抜きやがって……)



視界がすぅっと狭まっていく。




その中心には、驚愕の表情を浮かべるシルヴァイラの白い顔。


それもまた最後は点になり――





バタン……




オレは、自分が木の床に倒れる音を聞いた。
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