月の雫 -君と歩む彼方への道-
第2階級のシルヴァイラは、オレより何列も前に座っていたが、その背中は微動だにしなかった。

いつもどおり灰色のフードの奥深くに、美しく繊細な顔とその傷ついた心を隠して。





昨夜はシルヴァイラの隣で彼女を抱きしめたまま寝てしまい、起きるともうあいつの姿はなかった。

今朝は顔を合わせていない。


別にそれでもよかった。

その方が何だかあいつらしい。




読み上げられる降格者の中に、シルヴァイラの名前はなかった。



ほっとした。
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