月の雫 -君と歩む彼方への道-
「……おまえの元相棒、やる気なさそうだな」


横でルカがつぶやいた。


(元相棒?)


って、どっちもそうだっての。


「元相棒って、どっちだよ」

「ああ」


ルカは初めて気付いたようにうなずいた。


「すごいな。離婚同士のカップルみたいだ」

「何だよそれ」

「……やる気ねぇって言ったのは、レイジュラの方だよ」

「……?」


シルヴァイラばかり見ていて気付かなかった。


すでに戦闘エリアに入っているのに、レイジュラはシールドだけ張って、うっすらと笑みを頬にはりつけたまま、腕を組んで見ている。


(シルが何をするか、試すつもりだな……あいつ)


レイジュラの黒い目がきらりと輝くのが遠目に見えた。
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