月の雫 -君と歩む彼方への道-
「……どうしてわかる?」


ルカの声は固かった。


鮮明な映像とともにトロリと流れ込んできた感情も、固かった。


しみじみとした悲しみはある。

さまざまな後悔と、痛み。


でも、どこがひやりと冷めていて、距離があった。



ルカは、はぁ、と肩でため息をつくと、重い口を開いた。


「心臓の病気でな。

手術するのも危険らしくて。


……あとどれくらい生きられるかもよくわからないらしい」


「……そうか……大変だな。

――ここに戻ってきていいのか?」

「ああ。

一応普通に普段の生活はできるんだ」


ルカはどこかうわの空で軽くうなずくと、ふと窓の外に目をやった。



「――おまえが家を捨てたから病気になった、って母さんに言われたよ」


「……え?」
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