月の雫 -君と歩む彼方への道-
人々の悩み苦しみを聞いて、理解し、ともに苦しみ、そして癒すことをなりわいとして。

オレたちは研修所を出て、いろんな町をまわって歩くことに決めたのだった。



まだまだ未開拓の分野だし、勉強も必要だろう。

それでも、やっていこうって、二人で決めたんだ。



「せめてものはなむけにと思って……」


じいさんは、山々の間に沈みゆく夕日に目をやりながら、ふと切り出した。

夕日に染まって、白髪がオレンジ色に輝いていた。


「昨夜長老たちで話し合ってな。

おまえたちがやろうとしていることを、国が認める正式な魔道士の職業として創設することにした。

まだ職業名は決めてないがな。



そして、おまえたち二人をこの場で――


この国の正式な魔道士として認める」



「じいさん……」


オレは驚いて、思わず目が点になった。



だって、途中で研修を放棄したオレだ。

正式な魔道士なんて、普通じゃ認められるわけがない。
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