月の雫 -君と歩む彼方への道-
つややかな黒髪をなびかせて。

相変わらず目を惹く、すらりとした優雅な姿だ。



すれ違いざま、レイジュラはふと足をとめた。


「待て、シレン」

「……?」


足をとめて、レイジュラの顔を見上げる。

レイジュラは、黒い眉を寄せて、怪訝そうにオレを見た。


「シレン、何か魔道をかけられてない?」

「え?オレが?」


オレは、きょとんとレイジュラの整った顔を見上げた。
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