月の雫 -君と歩む彼方への道-
(――ん?)


まさか、本当に魔道でも使ってるのかな。





研修を終わって部屋に帰ると、シルヴァイラはとっくに帰っていて、ベッドに腰掛けて窓の外を見ていた。

外ではちょうど夕日が沈もうとしている。


こいつ、外を見るのがよっぽど好きらしい。


「なぁ、シル」

「……シルって何だ」

「おまえだ」

「……勝手に愛称を作るな」

「……おまえさ、何か人を遠ざける術でも使ってるのか?」

「……」


面倒そうに首をめぐらせて横目でオレを見る。
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