月の雫 -君と歩む彼方への道-
言葉にすらならない、意識の深い部分で。



(こういうことか)



オレは、突然理解した。


心に壁を作るやり方を。






「うまくいったのか?」



シルヴァイラの物憂げな瞳が、じっとオレを覗き込んで――


やがて、口の端がほんの少し持ち上がって、フッと笑った。


「これからは自分でやれ」


そして、肩でも凝ったのか、首を何度か軽く左右に振ると。


何ごともなかったかのように、また窓の外に視線を移した。
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