天使のような微笑で
 駅に着いた。

 駅前のロータリーを半周し、駅の目の前に車を止めヘッドライトを消す。

 幸い人っ子一人いない。
 終電もないほどの深夜。
 外は静まり返っている。

 都心から少し離れている場所で良かった。

 外の様子を伺う。
 人影は見当たらない。

 彼女はまだ来ていないのか?

 携帯を開き、駅に着いた事を知らせる。

 するとすぐに返事が来た。

「ロータリーに停まっている車がそうですか?」
 
「そうだよ♪」

 と送信してから、また外の様子を伺う。

 車に気がついたのならどこかで見ているハズだ。

 車から降り、月に照らされた外をぐるっと見渡した。
 すると自転車置き場から出てくる人影を見つけた。

 彼女なのか?

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