ハンカチ落としましたよ

結末 1

ハンカチが取り持つ、
不思議な縁。


ばあちゃんが
亡くなって
1週間経過した
ある日の午後、

タカシは出張で
名古屋に
行くことになった。



身内が亡くなった後は
なにかと気疲れが多く、
その出張も
なんとなく乗り気が
しなかった出張である。



出張先の
支店の
メンバーと
飲み会をして、

2次会が
済んで
さあホテルに
帰ろうかと思ったが、

ちょっと
ベンチに座り
酔いを覚ますために、

自動販売機で
缶コーヒーを
買って飲んでいた。


そこに
一人の女性が
通り過ぎて行ったが


目の前にハンカチを
落として行った。


半ば条件反射的に
「あ、ハンカチ
落としましたよ。」

と声をかけた。


女性は
「あ、すみません。」
と振り返った。


そして、
そのハンカチを
受け取った。


タカシは
少し酔っていた
せいもあって

「よかったら、
少し飲みませんか?」

と声をかけた。



過去に
妻との出会いも
ハンカチだったので、

ハンカチについては
とても他人事とは
思えない感じがした。


はじめは、
楽しく飲んでいたが、

妻との
ハンカチの話しをした後、

女性は

「とても他人とは
思えませんね。」

とタカシを誘った。





そう、
タカシは
出張先で
その女性と

一夜を
共に

過ごして
しまったのだった。

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