不機嫌な果実
「麻紀、いい?」
「――…うんッ」
「いくよ?」
「――…あっ、あ―…んッ」
記憶を失いそうになりながら、二人で絶頂の瞬間を迎えた。
裸のまま、シーツに身を包み、ベッドで寄り添う二人。
腕枕した手を抜き、サイドテーブルに手を伸ばした相澤はカチッとライターに火を点し、タバコを咥えた。
ダウンライトの明かりが優しく灯る部屋で、相澤の放つ白い煙が天井に立ち上る。
そのさまを見るのが、麻紀にとっては至福の時間だった。