不機嫌な果実


髪を振り乱して、怒鳴り散らす英里の姿は、何かに憑かれた獣のようだった。

初めて会ったときの、あの可愛らしい英里の姿はどこにもなかった。


人間の正体、あるいは曝け出す醜態に、小菅は恐ろしいほどの嫌悪感を抱いた。


英里とは正反対に、ますます小菅の気持ちは冷める一方だった。



そんな矢先の、今回の出向だった――。










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