ケイタイ小説
「あ、最近の流行といえば恋愛の相手役が少女漫画レベルな奴?男の設定がホストとか執事とか凄い金持ちとか!!そんでたいした魅力も無い女子が異様にモテるのが定番!」
「色々な意味で大丈夫?アキコ?」
「あとね、主人公の名前を自分のハンドルネームにしてまるで実際自分に起こったみたいにして書くのも昔からよくあるぅー!!どーみても完全フィクションだけど自己陶酔っぽく言い張ればいいから!!あははは!!」
「あのさ、この通話誰かに聞かれたら一部ヤバ」
「あーとーはー!!ルイコちゃんの好きに書いてくれたらいいからさぁ~!よろしくね!!」
「いやちょっと待てよ、てかお前死ねよ」
「どーせ読むの世間とか知らないお子ちゃま達だけなんだから、なーんも心配いらないよ?どんな酷い文章でもさっきのアタシ直伝のありがちセオリー使えば人気出るの間違いなし!!コツはね、恥を捨てる事!!!あとね、掲示板とか交流システムも作るからこまめに友達つくりなさいよ?あ、友達っても掲示板だけの口先だけの仲良しさんだから!どんなに文章が下手でもお友達名乗っとけばランキングがぐんぐんあがって一気に知名度があがるらしいよ!!」
「アキコ、悪い事言わないから今言ったこと外で誰にも言うんじゃないよ」
「え?……あ、ゴメン。ごはん炊けたから晩飯にするわ。んじゃ、また連絡するね。ばいばーい!!」


プツッ


……通話は一方的に切られた。





おそらく、彼女は晩飯を食べ終わったらまた電話してくるに違いない。
―――佐倉アキコという人間。
学生当時の恐ろしいマイペースぶりを思い出して、私は盛大なため息をついた。
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