執行猶予3年

それが、
ネットの世界。
最初は、
チャットで、似たような話をしてた。

それでもよかった。
みんな慰めてくれた。
励ましてくれた。

少し、
ほっくりした。
顔も知らない相手。
それでもよかった。

そのチャットの中では、
みんなお友達。
正しく言えば、
友達ごっこ。



それでも現実は変わらなくて。
毎日繰り返すだけ。
だんだんと、
周囲がいなくなっていった。


「うん。
分った。
袋の…そ、駅前で。」


とうとう、
出会い系に手を出した。
メールでやり取りしてるうちに嗅覚が、
育ったのか、
変質者とまあ、
いい感じの人を嗅ぎ分けられるようになった。

おかげさまで、
よく自分好みの顔に当たる。
というか、
写メ遅らして自分好みにしか行かない。
1日限りの、
恋愛ごっこの。
それが終わったら、
サブアド変えて、
はいさよなら。


そう。
私の去年の思い出なんてこのくらい。
年を重ねるごとに。
何もなくなっていった。


夢とか、
希望とか。
ここに出てきたばかりのあの荷物。
胸一杯に、
希望と夢と、
好奇心。
情熱。
たくさん荷物を持ってきたのに。


今はすべて、
燃えるごみに捨ててしまった。



そう。
ただ日々を消化するだけの大人になった。


時間とお金に悩んで。

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